舞台「海辺のカフカ」

村上春樹は好きですか?
5月13日(日)、彩の国さいたま芸術劇場に、「海辺のカフカ」の舞台を見に行きました。

海辺のカフカ

日本で初の村上春樹の舞台化。演出が蜷川幸雄ということもあり、始まる前から相当楽しみにしていました!
初めてこの本を読んだ時は、この物語の中の「啓示」に強く惹かれましたが、舞台の前に改めて読み返すと、運命に導かれつつも、そこから他人のではない、自分の人生をどう生きるのか葛藤する少年の姿に、色々と考えさせられてしまいました。
それから、もう今はここにいない人への強い想い。この辺も久しぶりに読むとよかったな。

いつもは、好きな作品の実写化とかって特別期待はしないのですが、このたびは、世界の蜷川幸雄が演出とあり、存分に期待させて頂きました!

期待① 舞台装置
まず、舞台装置ってどうなるの?!と。野方と戦時中の山梨と、高松とがあっちこっち行ったり来たりしますからね。どんな風に表現するのでしょうか?!

期待② 猫さん
キーパーソンであるナカタさんは、猫さんとおしゃべりしますからね。(犬さんとも。)
猫がどう出てくるのか楽しみ。

期待③ 大島さん
小柄な、女性だけど性同一性障害の見た目は男性だけどゲイっていう非常に複雑な役を、長谷川博己が演じるとの事ですが・・・この方身長183cmあるみたいですし、いったいどのように演じるのか・・・最も好きなキャラクターなので、ここだけは絶対に裏切られたくない!

期待④ 海辺のカフカ
「海辺のカフカ」というのは歌の名前なのですが・・・
本を読んでてどんな曲なのか全然想像がつかなかったので、陳腐な想像力では補えなかったものが埋められる!楽しみ!

実際のところはこんな感じでした。

実際① 舞台装置
やられました!オープニングからもうずんずん引き込まれて、鳥肌が立ちました!
雑踏と、繊細な音楽の中に、たくさんのガラス張りの四角い巨大なショーケースのような物体がゆっくり動きながら出てくる。それぞれのケースの中には、野方の公園、書斎、商店街、森、長距離トラック、などが入っていて、舞台の中心の一番小さなケースの中には、眠ったままうずくまったカフカ君が!この物語の全てを象徴するオープニングでした。
以降、全ての演技はこの透明なケースの中で行われます。これは蜷川幸雄が、ニューヨークの自然史博物館で、たくさんの時代のものがガラス張りのショーケースに展示されている様子を見て思いついたそう。なるほど!

実際② 猫さん
これはないわー。正直。一気にテンション下がった。なんか妙にでっかい猫の着ぐるみで出てくるんだもん。神秘のかけらもなかった。子役にCatsみたいなメイクして喋らせればよかったのに。四つん這いの歩き方変だし。犬さん然り。

実際③ 大島さん
長谷川博己最高!この舞台の中で一番よかった!!アタマに思い描いていた大島さんが100%そのまま目の前にいた!これはちょっとした衝撃。喋り方も動き方も。脇役なのに明らかに主役より存在感があった。服装も、本を読んだ時に想像しきれなかった部分が細かく再現されてて嬉しかった!

実際④ 海辺のカフカ
うーん。これはなんか残念な感じ。イメージとしては、リリーシュシュの中の幻想的な歌みたいな感じだったんだけど、全然魅惑的じゃなかった。変な歌!聞かなきゃ良かった!

あと、本を読んでいる人はわかると思いますが、ナカタさんの独特の喋り方。
どんなものだか見るまで分からないとか、それに出会うまでそれと分からないというセリフがたくさん出てきます。「うーん、ナカタにもそれは分かりませぬ」とか言う度に客席から笑いが起こるのです。役者さんが笑いが起きるようにちょっと面白く演技してるからなのですが、ここ笑うところじゃないと思うんですよね。思いません?
なぜ、この人には分からないのか。他人に運命を操られている「空っぽ」の男の生き様。
本を読んでいる時はここに結構引きつけられて心が苦しくて、泣きたくなるくらいに共感できる部分でした。なぜこの人物がこの物語でこの役割を担っているのか。
そういう事を考えると笑えないと思うのです・・・。それがちょっと残念でした。

という訳で、いいところも良くないところもあって、
全面的に期待しすぎていた自分にとってはちょっと物足りないところもありつつ、ずっと思い描いていた実物(?)が目の前にいるっていうのはやっぱり凄い興奮でした。

他の作品も舞台化してほしい。1Q84とか。青豆は誰がいいかな!?